ライターをしていると、多くのライターさんと知り合う機会があります。売れっ子ライターさんに共通していえるのは、話していて心地よい人たちばかりということ。
いわゆる「感じがいい人」たちなんです。まあ、当たり前ですよね。感じの悪い人に仕事を頼みたくないですから。では「感じがいい人」と「ふつう人」とは、何が違うのでしょうか。
心地よい人は、気配り上手
講師もやられる人気ライターさんとかかわったときのことです。彼女はとても忙しい方なので、最初から自分ですべてをやろうとせずに人に振る体制を上手に整えていました。自分の不得意な部分を把握し、得意な方に振る。そのうえで、相手がやりやすいように、細かい配慮をしてからバトンタッチをしてくれたのです。
そのため、その後のやりとりもスムーズ。嫌な思いをせずに、心地よくやるべきことができました。
その方とかかわったのは、最初のミーティングくらいだったかと思いますが、場を和ませる努力を怠らず、気配り上手な方だったためとても印象に残っています。
こういう方だから、一緒に仕事をしたいと思われるのでしょう。
ひとりで200名以上を集客した、3児のママ
ある劇団をやっていた方の話です。その人は、ひとりで200人以上を集客できる方でした。とくに有名な劇団でもなければ、テレビにでている俳優でもありません。普段は保育士として働く、小柄で明るい雰囲気の3児のママです。
チケットを売る秘訣をたずねると「とにかく感じのいい人になること」と教えてくれました。
彼女のいう「感じのいい人」とは、笑顔を振りまいて話を合わせるだけの「赤べこ」人間ではありません。PTAや地域の活動なども積極的に参加し、人が嫌がることも進んで取り組むような主体性のある人。「あの人に任せておけば、きっとなんとかしてくれる」と思ってもらえるような存在になることだといいます。
そうやって信頼を積み重ねるうちに人が人を連れてきて、最終的には400人ほどに声をかけ、200人以上集客できたそうです。400人も知り合いがいるなんて、一体、彼女のスケジュール帳はどうなっているのでしょうか。
感じのよさは、技術であり、習慣でもある
彼女たちとかかわるなかで、「感じがいい人」というのは、天性の魅力ではなく「つくるもの」なのだと気づかされました。つまり、感じのよさはスキルであり、日々の積み重ねで身につけていけるものなのです。
たとえば最初に紹介したライターの方は、相手にいわれる前にささっと企画を提出し、先方の手間を軽減させてきたそうです。仕事の獲得術ともいえますが、相手にとっては1〜2アクション削減できるので、うれしい配慮ともいえるでしょう(もちろん、企画内容にもよるとは思いますが)。
保育士の彼女は、誰かと会ったあとは必ず「今日はありがとうございました」と感謝の連絡を怠らないとのこと。何かを教えてもらったときには「昨日の話、さっそくやってみました!」と報告。イベントがあれば自分から積極的にかかわり、その場を盛り上げる。こうした小さなアクションが、彼女の「感じのよさ」をつくっているようです。
簡単にできるけれど「心を込めて」できているか
丁寧な返信、相手の意図を汲んだ質問、納品日に対する心配り。取材のあとには「お時間をいただき、ありがとうございました」と一言添えるなど……。
文章がうまいか下手か以上に、こうした姿勢が次の仕事につながっていくのだと、すてきな彼女たちを見て改めて感じました。
誰にでもできる細やかなことだからこそ、心を込めて丁寧に取り組んでいきたい。そんな思いで、気持ちを新たにさせられました。